ヴィジェ・ルブラン展を楽しむ秘密その3〜高橋明也さん(三菱一号館美術館館長)
三菱一号館美術館館長、高橋明也(たかはし・あきや)さんにマリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン展を楽しむヒミツ」について教えていただきます。
今回の秘密は「18世紀のフランス、激動の時代」です。
ヴィジェ・ルブラン展を楽しむヒミツその3
18世紀のフランス、激動の時代
女性画家、ヴィジェ・ルブランが生きたのは、幸か不幸かちょうど時代の変わり目といえる時期でした。フランス大革命が勃発する直前のこの時期のフランスは、18世紀の華やかな旧体制から、質実な19世紀の市民社会へと転換する激動の時代でした。ルブランら多くの女性画家が生きた、甘美な華やかさと厳しさが交錯する時代の空気を、作品から感じていただくのも興味深いと思います。
美術も、世の中の流れと同じく変化の時代でした。華やかで甘美なロココから禁欲的で形式的な新古典主義へと転換するときでした。ヴィジェ・ルブランはじめ多くの女性画家が時代に翻弄されながら、生きていました。市民階級出身のルブランは、その卓越した技量により、貴族の肖像画を手がけながら、その一方でリアルに現実を冷静に見つめ、描く力を持っていました。女性画家たちの作品を通じて、当時の時代背景についても知っていただければと思います。
マリー=ガブリエル・カペ
《自画像》 1783年頃
国立西洋美術館蔵
丸の内サロンはインターFMで月曜から金曜日までお昼の12:10〜12:30放送中です。
高橋明也さん
Akiya Takahashi
三菱一号館美術館館長。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。後に国立西洋美術館研究員。19世紀フランス美術史専攻。1984年より2年間、文部省在外研究員としてオルセー美術館開館準備室に在籍。2010年10月にはフランス芸術文化勲章を受章した。
「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン」展は3月1日〜5月8日まで開催。詳細はHPをご覧下さい。http://mimt.jp/vigee/