ヴィジェ・ルブラン展を楽しむ秘密その2〜高橋明也さん(三菱一号館美術館館長)
三菱一号館美術館館長、高橋明也(たかはし・あきや)さんにマリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン展を楽しむヒミツ」について教えていただきます。
今回の秘密は「プロ画家として、道を切り開いた女性」です。
ヴィジェ・ルブラン展を楽しむ秘密その2
プロ画家として、道を切り開いた女性
18世紀は女性が社会での大きな活動の場を見いだした時代といえます。なかでも、画家の家に生まれたヴィジェ・ルブランは10代の頃から、才能あるプロフェッショナルな画家として絵を描いていました。1783年には、それまでほとんど男性だけの場だった王立絵画彫刻アカデミーの会員として迎えられ、キャリアを積んでいきます。ルブランはじめ、華々しく活躍した女性画家の世界を堪能してください。
王立絵画彫刻アカデミーの誕生はフランス美術の進展に大きな貢献をしました。当初、その門戸は女性にも開かれていたのですが、1706年には女性の入会を禁じる決定をしました。男性裸体モデルを用いた素描の授業が女性には不適切とされたなど、その理由には種々の仮説が出されています。1770年には再び女性会員を人数を限って受け入れる決定がなされました。ただ、女性会員は男性モデルによる勉強ができないため、神話や聖書のエピソードを題材にした歴史画などの大作を手がけることはできず、肖像画や風景、静物画にその活路を見いだしました。
エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ・ルブラン
《自画像》 1800年
サンクトペテルブルク エルミタージュ美術館蔵
Photograph © The State Hermitage Museum /Vladimir Terebenin, Leonard Kheifets, Yuri Molodkovets
丸の内サロンはインターFMで月曜から金曜日までお昼の12:10〜12:30放送中です。
高橋明也さん
Akiya Takahashi
三菱一号館美術館館長。東京芸術大学大学院美術研究科修士課程修了。後に国立西洋美術館研究員。19世紀フランス美術史専攻。1984年より2年間、文部省在外研究員としてオルセー美術館開館準備室に在籍。2010年10月にはフランス芸術文化勲章を受章した。
「マリー=アントワネットの画家ヴィジェ・ルブラン」展は3月1日〜5月8日まで開催。詳細はHPをご覧下さい。http://mimt.jp/vigee/