アート Art

フランスに学ぶアートな暮らし-2〜杉浦岳史さん(パリ在住ライター)

 

芸術の都、フランスの人々はどんな風にアートを楽しんでいるのでしょうか?

今回は美術館の楽しみ方についてです。

 

 

 

 

 

 

 

ミュゼで素敵なカフェタイム

フランス人にとって、美術館はじっと作品を見るだけでなく、友人と語り合ったり、ゆっくり自分の時間を愉しむための場所。日本にいると、美術館は「静かにするところ」というイメージが強いですが、こちらでは絵や写真を見ながら「私はこの色づかいが好き」「この画家なら、○○美術館の作品もいいわ」などとおしゃべりしながらの鑑賞。美術の授業で来た小学生でさえ、引率の先生と床に座り込んで「あれが好き」「こっちのほうがかっこいい」と議論しはじめるようなお国柄です。そうなると、展示のあとは当然のようにカフェで会話のつづき。周囲の店もいいですが、多くの美術館では敷地内にカフェやレストランが併設されていて、街角の賑やかな雰囲気とはまた違った、静かで気持ちのいい時間を過ごすことができます。

庭園でゆったり

パリでおすすめのミュゼカフェ、ひとつめはロダン美術館です。ナポレオンが眠る7区のアンバリッドにほど近いこの美術館は、ロダンがアトリエとしていた館だけでなくその前に広がる庭園が見事。その傍らの並木道にそってカフェがおかれています。彫刻のおかれた庭を眺めながらほっと一息。パリ散歩の休憩にはもってこいです。ここは庭だけを訪れる人も多く、その場合の入場料はわずか1€。15€で1年間庭園散策ができるという、ちょっとめずらしいパスもあります。

絶景を楽しむカフェ

もうひとつは、エッフェル塔を眺める絶好のスポットとして知られるトロカデロのシャイヨー宮。ここには建築遺産博物館、海洋博物館、人類博物館の3つが入っていて、翼のように広がる両側の建物にクラシカルな趣のあるCafé-Restaurant du Palais de Chaillotとモダンなインテリアで彩られたCafé Carlu(カフェ・カルル)、Café de l’homme(カフェ・ド・ロム)があります。正面の窓にエッフェル塔を映す絵はがきのような風景に、見慣れた私でもつい感動。広場で写真を撮って終わりでなく、ぜひこの景色も思い出に残したいものです。

パリ上空のレストラン

ミュゼカフェ&レストランの最高峰といえば、ポンピドゥーセンターの最上階「Le Georges(ル・ジョルジュ)」。近現代アートの殿堂である建物のデザインは、パリでは少し異質ですが、中から眺めるパリ中心部のパノラマはまるで映画のよう。チケットを買ったビジターだけが入れる場所だけに、年間パスを持った美術関係者もよく来るようです。他にもジャックマール・アンドレ美術館のシックなカフェや、パレ・ド・トーキョーのレストラン「Tokyo Eat」もおすすめです。

一口に「パリの美術館」といっても、ジャンルもさまざま、集まる人もさまざま。カフェの雰囲気も美術館のコンテンツやエリアによってマダム中心だったり、若者中心だったりとずいぶん違います。そんな違いを感じながら時間を過ごすと、パリのいろいろな顔が見えるようで楽しいものです。

 

写真上から
ロダン美術館/ロダン美術館庭園のカフェ/シャイヨー宮のカフェ/ポンピドゥーセンターのレストラン「ル・ジョルジュ」

杉浦岳史さん
東京で広告ライター、ディレクターとして活動ののち2009年に渡仏。現在パリの高等学院IESAに在籍し、美術史、アートマネジメントやアートマーケットを学びつつ、執筆活動をつづける。
http://ameblo.jp/sucreweb/

パリのアート情報はこちらのサイトをご参考に。
アート情報誌<l’Officiel>のウェブサイト http://www.officiel-galeries-musees.com/

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