知りたい!最新スウィーツ事情 〜宇多聡子さん(フードジャーナリスト)
今回はフードジャーナリストで、スイーツやパンなどに詳しく、主に「ELLE a table」などで活動の宇多聡子さんにお話を伺った。
いまの流れはほっこり系
10年ほど前、「モンサンクレール」の辻口シェフをはじめ、世界でもその腕を認められるパティシエたちが脚光を浴び、“パティシエブーム”が起きました。それまで、特別な日のものだったプチガトー(小さなお菓子)が、日常的に食べられるようになったのもこの頃からではないでしょうか。見た目も美しく味もおいしいケーキがとても身近なものになったのです。
ここ1、2年はというと、ほっこり系焼き菓子がブームです。シンプルなパウンドケーキやクッキーなど、素朴なお菓子が盛り上がっています。しかも女性が一人で作り、売っている店が増えています。初台の「ベイキー」や神楽坂の「レリーサ」など、小さなかわいらしい店が多く、もちろん味もいいんですよ。女性ならではの繊細な味というのでしょうか。生地はきめが細かくなめらかで、やさしくあたたかな味わいです。
もともと私は“粉ものスイーツ”が大好き。やっと私の時代が来た!と感じています。焼き菓子は小麦粉とバターといった素材の味、そしてシンプルだからこそ作る人の技術がダイレクトに出るお菓子です。それだけに世に残るためには、それぞれのパティシエの工夫やこだわり、技の進歩が欠かせません。いろいろな店の焼き菓子を食べくらべてみるのも楽しいですよ。
気持ちを上げるスイーツ
男性パティシエが作る、見目麗しい“攻めるケーキ”ももちろんいいのですが、女性が作る気軽に食べられる焼き菓子が、いまの時代や気分にあっているのかもしれません。仕事や家事の合間、疲れた時にはちょっと甘いものが食べたくなりますよね?そんなときこそほっこり系焼き菓子がぴったりです。有名パティシエの凝ったスイーツもいいですが、見た目も味も素朴であたたかい焼き菓子は心をじんわり癒やしてくれます。
最近流行したロールケーキ、ドーナツ、パンケーキ。どれもやっぱり、シンプルでほっとするあたたかさ、懐かしさがあります。私にとってお菓子は、へこんだ気持ちをあげてくれる大切な存在。素朴な焼き菓子は毎日食べても飽きない魅力があるのです。皆さんもぜひ、おいしい焼き菓子とともにティータイムを楽しんでみてください。
宇多さんにQ&A
(2010年10月8日丸の内サロンにて)
フードジャーナリスト。スイーツやパンなどに詳しく、主に「ELLE a table」などで活動。「ELLE online」のスウィーツハンターとしても活躍中。http://www.elle.co.jp/atable/sweet