自然派ワインを楽しむヒミツその1〜池谷太輔さん(ヴァンクゥール代表取締役)
自然派ワインの輸入、卸を手がける「ヴァンクゥール」代表取締役、池谷太輔(いけたに・たいすけ)さんにお話をうかがいます。池谷さんはフランスで自然派ワインの素晴らしさに触れたことがきっかけで「生産者のこだわりや配慮が生み出す、最高においしいワインを日本に届けたい」と会社を設立、まじめにつくられたおいしいワインを紹介しています。そんな池谷さんに「自然派ワインを楽しむ5つのヒミツ」を教えてもらいました。
自然派ワインを楽しむヒミツ その1 自然派ワインは生きている
自然派ワインはその名の通り、自然にこだわったワインです。有機・無農薬の畑で育ったブドウを使い、そのブドウについている野生酵母を利用して発酵、醸造させます。瓶詰めするときには濾過しないことが多く、酵母の風味が生きた、自然のままの味を楽しめます。また、酸化防止剤などの添加物もごく最小限にとどめます。ボトルに詰められたあとも、ワイン自体が生きているのです。
ワインをつくるうえで重要なのが酵母です。自然なつくり方では、酵母を添加せずに、ブドウそのものについている酵母、カーヴ(醸造所)についている酵母を利用し、発酵させます。その土地や畑にしか存在しない酵母のキャラクターを生かし、オンリーワンのワインをつくるために、つくり手は努力します。健全な酵母をブドウ畑に付着させるためには、農薬や殺虫剤に頼らず、自然に育てることが求められます。農薬を使うと、土の表面がかたくなり、根っこがのびません。土の中のバクテリアも死んでしまい、ミミズなど土を耕してくれる生き物もいなくなってしまいます。そうなると昆虫も畑に近寄らず、畑としての「生」が失われてしまうのです。
野生酵母ではなく、培養酵母を添加し発酵させる場合は、ブドウをプレスしてできたジュースを間違いなく発酵させることができる一方、培養酵母の強いキャラクターがブドウの香りや味を上回り、ワイン本来の味わいが損なわれてしまうこともあります。
たくさんの造り手がいるなかから、この人のワインを買い付けたいと思わせる基準は、仕事をきちんとしているかどうかです。農法や醸造方法ができるだけ自然であること、ブドウの味をしっかりと感じられること、添加物を入れないこと、野生酵母を利用していることがポイントです。ワインはブドウがあってこそできるもの。ブドウを育てる畑づくりから醸造まで、自然なかたちで行う生産者のワインを紹介しています。
丸の内サロンはインターFMで月曜から金曜日までお昼の12:10〜12:30放送中です。
池谷太輔さん
Taisuke Iketani
ヴァンクゥール代表取締役。「生産者のこだわりや配慮が生み出す、最高においしいワインを日本に届けたい」という想いのもと、2005年にヴァンクゥールを設立。自然派ワインの輸入、卸を手がける。現在はフランスを中心に45の生産者と取引し、年間約200種類のワインを紹介している。http://www.vinscoeur.co.jp/
ドメーヌ・ド・シャソルネイ(フレデリック・コサール)
ラベル上:ブルゴーニュ・ブラン ビゴット2009 4,935円(参考小売価格)
ラベル下:ブルゴーニュ・ルージュ ブドー2009 4,988円(参考小売価格)
フレデリック・コサールは1996年「ドメーヌ・ド・シャソルネイ」を立ち上げる。また2005年には、新たにワイン醸造所を建設し、2006年に「ネゴシアン・フレデリック・コサール」をスタートさせる。畑作業では、2000年から畑のプレパラシオン(調合剤)に病気の耐性を強化する「ホメオパシー農法」をいち早く取り入れ、畑と風土のもつエネルギーの全てをブドウに反映させるべく全精力を注いでいる。収穫時は粒単位でブドウを選果し、また醸造ではSO2無添加、ノンフィルター、徹底した温度管理をし、最高品質のワインをつくるために、一切手間を惜しまず、日々奮闘している。
彼の提唱する「Vin Vivant (ヴァン・ヴァイヴァン)」とは「活きているワイン」です。ブドウと酵母の旨味の詰まった、新鮮で風味豊かな味わいを、どうぞ心ゆくまでお楽しみください!
ホメオパシー農法
2000年に友人のフィリップ・セク氏の協力の下フレデリックがドメーヌの畑に導入した散布方法。うどんこ病、ベト病対策のプレパラシオン(調合剤)の一環で、ブドウの葉の成長期に、ベースとなるエッセンシャルオイルとそれぞれの区画から抽出したうどんこ病、もしくはベト病の病原菌を培養し希薄化した水溶液をディナミゼ(攪拌)し、それぞれの畑に散布しなおすことによって、ブドウの木の免疫力を高める。